十 七 条 心 得 (十七条憲法 原文 等)

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【 第七条 】
 適 材 適 所

人にはそれぞれに果たすべき役割があります。自分の役割に努め、他の役割を認め、混同してはいけません。

適切な人格者が責任のある役職に就いているときには、自然と評価の声が起こり、ふさわしくない人物がその役職にあるときには、問題や混乱がしばしば起こるものです。

生まれながらにして立派な人などいません。けれども、仏教に説かれる道理をよく心に留め、それをつとめているならば、自ずと人徳が身に付いてくるはずです。

事柄の大小に関わらずほとんどのことは、適任の人がそれに当たればかならず自然とよい展開が起きてくるものです。これによって寺院は永久に発展し、その護持が危うくなることはありません。

だからこそ、古来からの優れた人事責任者は、必要な役職に適任者を当てるようにしたのであり、誰か人がいるからといって、そのために役職を設けて与えるようなことなどしなかったのです。

 

ひとそれぞれに、その人ならではの能力があるはずで、誰一人として同じではありません。その人に適した役割があれば、その人は自然と成長していくはずだし、みんなにとっても好ましいこととなるはずです。

適材適所の役割分担が大事です。自分に役割が与えられたならば、そこでどれだけ自分の能力を発揮できるか、一所懸命に勤めるべきです。

自分の人生は、自分に与えられた修行の場なのだと思って、自分の役割に努めましょう。

 

 

【 十七条憲法・第七条 】

[原文]
七曰、人各有任。掌宜-不濫。其賢哲任官、頌音則起。姧者有官、禍亂則繁。世少生知。剋念作聖。事無大少、得人必治。時無急緩。遇賢自寛。因此國家永久、社禝勿危。故古聖王、爲官以求人、爲人不求官。

[書き下し文]
七に曰く、人おのおの任あり。掌(つかさど)ること、濫(みだ)れざるべし。それ賢哲、官に任ずるときは、頌(ほ)むる音(こえ)すなわち起こり、奸者(かんじゃ)、官を有(たも)つときは、禍乱すなわち繁(しげ)し。世に、生まれながら知るひと少なし。よく念(おも)いて聖(せい)となる。事、大少となく、人を得て必ず治まる。時、急緩となく、賢に遇(あ)いておのずから寛(ゆたか)なり。これによりて、国家永久にして、社稷(しゃしょく)危うからず、故に、古の聖王、官のために人を求む。人のために官を求めず。

[現代語訳]
人には、おのおのその任務がある。職務に関して乱脈にならないようにせよ。賢明な人格者が官にあるときには、ほめる声が起こり、よこしまな者が官にあるときには、災禍や乱れがしばしば起こるものである。世の中には、生まれながらに聡明な者は少ない。よく道理に心がけるならば、聖者のようになる。およそ、ことがらの大小にかかわらず、適任者を得たならば、世の中はおのずからゆたかにのびのびとなってくる。これによって国家は永久に栄え、危うくなることはない。ゆえに、いにしえの聖王は官職のために人を求めたのであり、人のために官職を設けることはしなかったのである。

[英語訳]
7. Each person had a duty to perform ; let not the sphere of duty be confused. When wise and capable persons are entrusted with high offices, there will arise a unanimous voice of pleased approval ; but when wicked persons hold high offices, disasters and disturbances are multiplied. In this world there are few who are endowed with inborn wisdom ; sainthood is a goal attained after long self-discipline. All matters of State, whether great or small, will surely be well orderd when right persons are in the positions ; in any period, whether critical or peaceful, all affairs will be peacefully settled when wise men hold sway. In this way will the state be lasting, and the realm be free from dangers. Therefore the wise soverigns of the ancient times sought good men for high office, and not good offices for favored men.

出典:中村元 著『 聖徳太子 地球志向的視点から 』(東京書籍)THE SEVENTEEN-ARTICLE CONSTITUTION by Prince Shoutoku Translated into English by Hajime Nakamura

 

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