【 第十二条 】
寺院の役職に就いている者は、公私混同して寺院の法人会計に当たってはいけません。
宗教法人である寺院の所有するものは、それに参加するすべての人々の共有財産であり、そこでの会計は公開を原則として、社会的に公正でなければいけません。
寺務に就く者は仏の教えに勤めてそれを伝えていくために、生活をしていくための給与と住まいが与えられているのです。
お布施やご懇志を、私利私欲で扱うようなことがあってはいけません。
【 十七条憲法・第十二条 】
十二曰、國司國造、勿収斂百姓。國非二君。民無兩主。率土兆民、以王爲主。所任官司、皆是王臣。何敢與公、賦斂百姓。
十七条憲法の定められた時代においては、天皇を中心とした律令国家の成立を目指すための条項なのだと思いますが、現代における寺院運営の心得としてこれを解釈するなら、宗教法人法に則った寺院の健全な経営についての条項として翻訳するのがよいと思い、このように意訳しました。
肝心なことは、多くの人々が関わることを個人的な私利私欲で公私混同してはいけないという戒めであると思います。心して受け止めるべきことです。