政治の腐敗、犯罪、天災、飢饉、疫病、社会混乱。。。親鸞聖人が生きられた時代、世間の人々の心は、非常な不安定状態に陥っていたといわれます。そんな時代にあって自らの仏道を究め、安心の教えを世間に説き弘め、それを後世に遺された聖人のご生涯に、現代社会に生きるひとりの人間としての生き方を学ばせていただきます。
浄土真宗の宗祖である親鸞聖人(しんらんしょうにん)は、今から800年ほど前のむかし、平安時代末期から鎌倉時代にかけて、90年間の生涯を人間として生きられました。承安3年(1173)4月1日 - 弘長2年(1263)11月28日 聖人が生きられた平安末期から鎌倉にかけての時代は、政治が腐敗し乱世となり、天災や飢饉に見舞われて、大火や内乱や犯罪や疫病が一時に押し寄せてくるような混乱した社会にあって、世間
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親鸞聖人は有名な歴史的宗教家の中ではかなりの例外で、自分の生涯についてのことを、自分ではほとんど書き遺すことのなかった方だったそうです。長きにわたって多くの人々の関心を集めてさまざまな研究がなされている歴史的重要人物でありながらも、その生涯には未だ謎が多く、明治時代には「親鸞非実在論」といって、聖人は伝説上の人物であり実際には存在しなかったという説まであったそうです。けれどもさすがにこれは極端に
親鸞聖人86歳のお手紙である『自然法爾の事』という文章が遺されています。これは聖人が最晩年に至った浄土真宗の究極的な境地であるといわれています。ここにいま、浅学の身ながら、思うところを書き記させていただき、宗祖のお心をたどりながら、真宗の信仰の深層を探ってみたいと思います。聖人は「自然法爾(じねんほうに)」ということについて、人間の思慮分別をはるかに超えた阿弥陀仏の本願力は、私自身のはからいをは