2019年4月20日の朝日新聞朝刊の一面に「一人暮らし高齢者900万人へ」の見出し。
ご門徒方のご家庭を見渡しても、たしかにご高齢の一人暮らしは多いなあと思いながら、その記事内容をよく見てみると「2040年推計」の記載が。。。
2040年といえば今年から数えて21年後になるので、現在49歳の私は70歳になっている年。
ということは、この推計にある高齢者とは、まさに自分自身のこと!?
世帯数についての国勢調査では、①一人暮らし ②夫婦のみ ③夫婦と子 ④ひとり親と子 ⑤その他 の5類型で推計するのだそうですが、2040年の全世帯に対する一人暮らしの割合は約4割で、そのうちの17%が「65歳以上の一人暮らし」と推計されているそうです。
また、全世帯のうち高齢者が世帯主である「高齢者世帯」は、全国で44.2%と推計され、秋田や青森など10県では、全世帯のうちの半分以上が「高齢者世帯」となる見通しとのこと。
自分が70歳になっている2040年に、自分がどんな暮らし方をしているのか?
奥さんと二人で老後を暮らしているのか、それとも子供と暮らしているのか。もちろん高齢者一人暮らしになっている可能性は十分にあるし、どこかの施設にお世話になっているのかもしれない。
それもなにより、70になるまで生きていられての話です。
一人暮らし高齢者の推計は都道府県別でも出ていて、全国最多の東京では116万7千人にもなる見通しだそうです。65歳以上人口の約3割が一人暮らし世帯になるとのことで、その背景には未婚や離婚などの増加が、原因としてあるそうです。
結婚をしている人もしていない人も、子供がいる人もいない人も、生涯を同じ家族と暮らす人も暮らさない人も、多様な人生のあり方が認められているのが現代です。
東京だけでなく地方であっても、未婚や離婚の増加は、同様のはず。
そんな時代の老後のあり方は、ひとそれぞれ千差万別になって当然。終活のあり方もまた、ひとそれぞれであって、ただひとつの正解のようなものがあるわけではないでしょう。
人はみな
「独り生れ 独り死し 独り去り 独り来る」
仏説無量寿経のなかで、お釈迦さまが説かれる言葉です。
どんな人であっても、
独りの人間として生まれてきて、
独りの人として、人に出会い、
独りの人として、人と別れ、
そして独りで、死んでいきます。
さまざまなご縁のなかで、いろいろな出会いと別れがあって、それぞれの人生を生きている、私たち一人ひとりです。
毎年春の季節に行われる恒例行事「花まつり」は、お釈迦さまのご誕生をお祝いする催しです。
今年は平成31年4月27日から令和元年5月3日までの1週間、平成と令和の時代をまたいで、お参りいたします。
お釈迦さまはこの世界に生まれられたとき、右手で天を左手で地を指差して、
「 天 上 天 下 唯 我 独 尊 」
と声に出されたそうです。
この言葉の解釈には諸説あるようですが、私はこのお姿から、
天にも地にも、私はただ独りの「かけがえないひとり」であり、
生きとし生けるすべてのものはみな等しく、
それぞれがただ独りの「かけがえないひとり」である。
という言葉が聞こえてくるように感じられます。
お釈迦さまのこのお姿は「人間の尊厳」を体現しているのだと、思います。
ただ独りの「私」としてこの世に生まれてきたからには、
人間としての尊厳をもって、自分の人生を生き抜きなさい。
そう言われているように感じるのです。
けれども、そもそも「人間の尊厳」って、何なんだろう?
自らの終活のテーマにもなりそうな、気がしてます。