終活とは「人生の終わりのための活動」の略語で、自分が亡くなった際の葬儀、お墓、遺言の準備、財産相続、身の回りのものの整理などを、自分であらかじめしておくこといいます。
しかしながら、よほど差し迫った状況でもないと、こうしたことを進んで自分からやろうとは思わないものだし、あんまり何から何まであらかじめ決めておくっていうのものも、やっぱりやり過ぎのような気がします。
インターネットで終活についていろいろ調べてみると、どんな終活指南でもまず手始めに勧められているのが、「エンディングノート」を書いてみること。
エンディングノートとは、自分の終末期や死後に備えて、身近な人に伝えておきたい希望や情報を、書き留めておくノートです。
遺言書のように法的な効力はありませんが、自分のことや自分の思いを伝えておくことで、もしも自分が亡くなったときにも、後に遺された人がさまざまな手続きを進めやすいように、参考にしてもらうためのものです。
インターネット上には無料でダウンロードできるものもいろいろあるようですが、多くのひとがやっている最も一般的なものを試してみることにして、アマゾンで一番売れている商品を購入してみました。
ノートの定番コクヨから発売されている「もしもの時に役立つノート」759円。
注文の翌日にはポストに届いていたのでとりあえず開封してみると、ノートの帯には「気になることから少しずつ。今日から書けるエンディングノート」というコピーが書いてあります。
ページをパラパラと開いてはみたものの、なかなか今日から書こうとは思えず、数日の間は、まだ読んでいなかった本を眺めてみたり、いつもはそんなに見ないテレビをつけてみたり、ちょっと遠くの散歩に出かけてみたり。。。
自分の「エンディング」に向き合うなんて進んでやりたいわけがなく、どうにも気乗りのしないものだということを、身をもって感じました。
「まだまだいろいろやることがあって、終活なんてしてる暇はない」って言いたくなるのも、よくわかります。毎日のやらなければいけないことや、自分のやりたいことを優先しようとするのは、当然のことだと思います。
終活なんて、自分からすすんでやりたいような、面白おかしいことな、わけがありません。
親しみやすい色使いで可愛らしいイラストが施されたコクヨのエンディングノート「もしもの時に役立つノート」のはじめには、
このノートを記入しておくと「もしもの時」にあなたや家族がとても助かります。
また、日常生活の中でも、あなた自身のために役立ちます。
あなただけしか知らないけれど、家族にも関わりのある大切なこと、ありませんか?
自分のことなのに、自分でもよく覚えていないこと、ありませんか?
書いてみることで気づくこと、発見することもたくさんあります。
まずはお好きなページから、気軽に書いてみてください。
と、書いてあります。
なるほど、いくつかの項目に分けられた記入欄のほとんどは、自分についてのさまざまな情報をまとめておくための「備忘録」のような内容です。
自分の名前や生年月日、住所や本籍、電話番号などに始まって、預貯金や証券やクレジットカードなどの情報や、資産・不動産・年金・借入金・保険などの内容、家族・親族や友人・知人についての情報など、日頃からまとめておいた方がいいんだけど、なんとなく後回しにしてしまっていることを、このノートを使って記録しておきましょう、ということのようです。
日常の雑務にかまけて後回しにしてしまいがちなことを、家族にも協力してもらってこの機会にやっておくというのは、いいことかもしれません。
我が家の場合、家庭の細々としたことは奥さんにまかせっきりにしてしまっているので、もしも自分だけでどうにかしなければいけないような事態にでもなったら、途方に暮れてしまうのが目に見えてしまいます。
同じように、家族の知らない自分にしか分からないことだって、結構多くあるはずです。
家族であっても案外知らない、お互いの個人情報などを共有しておく記録があれば、もしものときの手続きが楽だということは、なるほどその通りかもしれません。
これからをうまく生きていくためにも、現時点での自分のことを、とりあえずまとめておくということは、しておいた方がいいことかもしれません。
2019年の年度始まり、今日4月1日、新元号が「令和」になると発表されました。
来たる5月1日には、新しい元号の、新しい時代が、はじまります。
終活とかエンディングノートとかいうと「もうこれでおしまい」という気持ちになって、うつむきがちにもなってしまいうそうですが、ゴールからのスタート、おわりからのはじまり、エンディングはただの一区切りで、新しい何かがそこから開かれていくはずです。
購入したエンディングノートの表紙には、ローマ字で「 LIVING & ENDING 」と書いてあります。
目標としての最期(ENDING)を仮に設定してみることで、今自分がどんなところにいて、今何をするべきなのか、今をどう生きる(LIVING)べきなのかということを、ちょっと考えてみましょう、ということでしょうか。
平成の終わりは、令和の始まり。
これまでのことに一区切りつけて、これからに向けて一歩踏み出すために、
自分から新しいことをスタートしようという気持ちで、
エンディングノートを開いてみようと思います。