令和6年8月2日石川県珠洲市・乗光寺「寺盆踊り」

 

令和6年1月1日に起きた能登半島地震で大きな被害のあった珠洲市飯田町にあるお寺、乗光寺(じょうこうじ)さんを会場に開催された復興イベント「寺盆踊り」の手伝いに行ってきました。

 

こうしたご縁をいただくことがなければ、同じ北陸地方に住んでいながら訪れることがなかった現地に立ってみて、その被害の実情には言葉を失うしかありませんでした。

あの日から8ヶ月が過ぎて日本の社会は刻々と移り変わり、日々の自分の生活に精一杯だったというのが正直なところでした。

現地のことは、行ってみなければ想像することさえ出来ないというのが、本当なのだと思います。

 

 

会場となる乗光寺さんは本堂が大きく傾いてしまうほどの被害があって、倒壊してしまったという山門も今はもうありませんでしたが、建物を水平に戻す工事は既に完了されていて、御本尊は修復のために本堂から移されているとのこと。大変な寺院再生事業を決意されたことに、ただただ敬服するばかりです。

今回の「寺盆踊り」は、愛知県豊田市で2012年から続けられている「橋の下世界音楽祭」の企画で、スタッフの方々は炎天下の中でも驚くばかりのチームワークでやぐらを組み立てられて、見る見るうちに境内に祝祭的な空間を創り上げられました。

20年来の付き合いになる兄貴分・マタベさん。安心の音響で、祭りが始まります。

 

開場の6時を過ぎると少しは暑さも和らいできて、近所の方々や1日の支援活動を終えられたボランティアの方々などが集まって来られました。

橋の下音楽祭の発起人・永山さんと仲間たちのバンド「ハシノシターズ」の演奏が始まって、お寺にある潜在的なエネルギーが湧き上がってきます!

生ビールや串カツなどの露店も出て、老若男女を問わずいろんな人たちが集う夏祭りの空間に、コロナの間に忘れかけていた感覚が蘇ってくるような気がしました。

 

 

今回のイベントにはアイヌ音楽のトンコリ奏者OKIさんと唄い手Rekpoさんのユニットが出演!私は2001年の安藤ウメ子さんのアルバムからずっとOKIさんの音楽を聴き込んできましたが、今回が初めてのライブ体験。

 

感 無 量

 

Rekpoさんのリードで自然とやぐらの周りに人が集まって、

地元の民謡「珠洲ちょんがり」のご披露が始まると、踊り慣れた地元の人も、見様見真似の人も、みんな一緒に輪になって踊りました。

 

昼に現地に到着して、人気(ひとけ)のない町の様子を見た時には、まさにもうゴーストタウンのようだと思ったのが正直なところでした。

けれども日が暮れて、お寺の境内地に集って真夏の夜を楽しもうとする人たちの熱量は、エアコンの効いた室内に閉じ込もることが当たり前になってしまったアフターコロナの都市生活には感じられない活気がありました。

どれだけ居心地が良くて便利な暮らしが続けていられたとしても、元気なく死んだみたいに生きているんだとしたら、どうなんだろう?

元気と人気と活気こそが、持続可能性のある社会の必要条件なんじゃないだろうか?

人間のエネルギー問題について考えさせられる、強烈に熱い一日でした。

 

 

 

被災されて大変な苦労をなさっているはずなのにそんな様子を少しも見せずにもてなしてくださる寺族の方々と、出演者、スタッフに混ざって私も打上げに参加させていただき、それぞれに経験されている、とても貴重なお話を聞くことができたことは、とても大きな収穫でした。

珠洲原発の建設反対運動を続けてそれを阻止された地元の方々の経験や、現在にも北海道で起きている民間会社のメガソーラ建設による自然破壊のことなど、決して忘れてはいけない私たちの電力の問題について、そう簡単に解決するようなことではないからこそ、しっかりと向き合っていかなければいけないと、改めて気持ちを定めました。

 

 

 

能登半島の先端に位置する珠洲で、原子力発電所がもしも本当に稼働していたら

この正月の地震でどんなことになっていたのか

富山湾を隔ててすぐそばの地域に住んでいる私たちの暮らしは、どうなっていたのか

 

 

朝方にお寺の広間で目覚めて車に乗り込み、富山に向かい町を出ようとした時に、朝日が昇って来るのが見えました。

 

 

今日ですべてが終わるさ

今日ですべてが変わる

今日ですべてがむくわれる

今日ですべてが始まるさ

 

そんな唄を思い出しました。