写真集「不思議の国」を上梓したとき、河上師は一目みて、「不思議は阿弥陀です」といわれた。思議・弥陀(ミタ)は量ること、いろいろ慮(おもんばか)ること。不・阿(ア)は否定語で、つまり思議のおよばぬ世界だと。 今回の「不思議のアミタ」の展示では、なんら慮ることなく、全てお任せしました。
とても気持ちが良いです。 石黒健治
慶集寺住職が東京在住の二十代の頃に出会い、四半世紀に渡る交流のなかで様々な示唆を与えて導いてくださった恩師が、写真家・石黒健治氏です。石黒氏は写真芸術にとどまらず、映画の監督や撮影小説や随筆の執筆など、さまざまな表現活動に取り組んでこられた熟達の「作家」であり、今なお意欲的な創作を続けていらっしゃる「哲人」です。
稀有な機会に恵まれて、数年前より慶集寺住職は石黒氏との共同制作に取り組んでまいりました。その成果として、この秋より琳空館二階のフォトギャラリーで公開されるのが『アミタ-ひかりといのち-』と題された、パネルインスタレーション(空間表現)作品です。
『アミタ-ひかりといのち-』は、蓮如上人が書簡や寄り合いといった往時のメディア(交流の媒介)を駆使して「御文章」という伝道手法を広められたように、インターネットや空間インスタレーションという現代的な手法を活用して、仏教を表現しようとする試みです。
また、親鸞聖人が仏教に親しみのない人々にもそれを伝えたいと願って詠まれた「和讃(和語を用いた仏教讃歌)」のように、心を以って心を伝えようと試みられた、実験的な作品です。
同作品はインターネット版もオンライン公開されていますので、お手持ちのパソコンやスマートフォンでいつでもご覧いただくことができますが、ぜひ琳空館の二階にお越しいただき、その作品世界に身を委ねていただければ幸いです。
岩瀬大町通りの琳空館ギャラリーで『アミタ・インスタレーション版』の観覧をご希望の方は、事前の予約をお願いいたします。
電話:076-426-9129(慶集寺)
不思議なアミタの世界に 思いを巡らしてみてください