【 煩 悩 】


私たちが生きるこの世界や宇宙は、あまりにも広大で、細密で、多様です。

最先端の自然科学で宇宙や世界についての多くのことが解明されたように思っていても、
自然界の大いなるはたらきのある一部分を見て、それで全てを理解したと思い込んだり、
あるいは誤解したりしているだけなのかもしれません。

それについて何でも分かっているかのように思うのであれば、
それは、世界や宇宙について、何も分かっていないことにもなるでしょう。

あまりにも限定された意識の範囲内にしか、生きることのできない私たちです。
自分は賢いと思っている人こそ、ひとからすれば、愚かに見えるものです。

自分の思いへの執着が強ければ強いほど、思い込みが強ければ強いほど、
実際にはそうでないことに苛立ったり、自分の世界に閉じこもったり、
ひとにとってはどうでもいいような、ひとに言ってもどうしようもないことを、
ああだこうだと取り留めもないままに、話し続けるようなことにもなるのです。


愚かであるということは、人間であることの、
拭いがたく根源的な「 性質 」なのかもしれません。

その愚かさゆえに、怒り、欲しがる、私たちです。

愚かであるがゆえに、自分の思い通りにならないことに腹を立てたり、
自分の思うがままにはならないことに、不満を募らせたりするのでしょう。

日々の自分の有り様を、正直な目で見つめるならば、
たとえそれを表に現すことはしないとしても、
怒る心、欲しがる心の抑えきれない、私たちです。

ゴータマ・ブッダは自らの内にある「 三毒の煩悩 」を正直に見つめられただけでなく、
煩悩の起こる根本原因が、人間の「 自己中心性 」と「 分別心 」にあることを、
あきらかにされました。



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