わずかに残る体力を振り絞るようにして立ち上がり、
苦行林から脱出されたシッダルタ。

林のそばをゆるやかに流れる河の水で、
六年にも渡る苦行で身体についた積日の汚れを洗い流し、
大樹の下に座禅する場所をつくり、新たな修行の場と決められます。

近くに住んでいるという「 スジャータ 」という名前の村娘との出会いがあったおかげで、
滋養豊かな乳粥の施しを受けることができたので、
シッダルタの体力は見る見るうちに回復していきました。


けれども苦行林での修行者たちは、シッダルタの苦行の中止を、
自分たちへの重大な裏切りであると激しく非難したといいます。

ひとたび出家をした者が半ばで苦行を放棄し、
修行中には固く禁じられている動物性食物である乳粥を、
しかも世俗の村娘から受け取るということは、
苦行林での常識からも、当時の社会常識からも、
大きく逸脱した行為だったのです。


けれどもシッダルタは、自らの確かな信念のもと、

ひとり大樹の下に静座して、

至心に思惟と瞑想をこらして、禅定に入られ、

完全に煩悩を打ち消し、

ついに「 ブッダ(真実に目覚めたる者)」として、悟りの境地を証得されました。




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