厳しい苦行を求めて各地から修行者たちが集まってくることで知られる
「苦行林」と呼ばれる場所は、河の畔の鬱蒼とした樹々に暗く閉ざされ、
静かで、淋しく、とても人が好んでは立ち入らないような、
世間からは隔離された地区にありました。

自らの肉体を自ら痛めつけるということは、物質性から離れるための神聖な行為であり、
そうすることによって自己の精神は高次元に解放されると考える思想が、
その地では苦行の原理として、固く信じられていました。

真実の悟りを得るためであればいかなる苦難も耐え抜こうという強い信念のもと、
シッダルタは厳しい苦行に挑むことを決意されます。



初めの内は一日に二軒以上の托鉢には行かず、
それぞれその場で二口以上の食物を受け取ることをしません。

次には一日一食、

やがて二日に一食、

七日に一食、

半月に一食といったように、

次第に絶食期間を長くして、厳しい食事制限をしていきます。


いばらを束ねて積み重ねた物の上に座り、体に棘が突き刺さる激痛に堪えながら、
ただひたすらに精神統一に挑むことが、基本的な日常での苦行。

片足を上げて真っ直ぐに立ったままの苦行や、
踞ったまま決して立たない苦行。
真っ赤に焼けた石の上を歩く苦行や、
沼の中で息を止めて潜ったままの苦行。
急激な滝の流れを頭頂で受ける苦行。
土の中に埋められて耐える苦行。など、
その地では様々な苦行が試まれていました。

寒い時期にはあえて凍えるような場所で、
雨の時期にはあえて露に打たれるような場所で、
暑い時期にはあえて焼け付くような太陽の下で、
シッダルタは自らの身体を極限まで追い詰めていきます。



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