将来の国王となるよう、周囲からの期待を一身に受けて育てられた、シッダルタ王子。

何不自由のない王族としての生活では、日常の雑事は召使いがするのが当たり前で、
暑い時期には涼しい部屋に、寒い時期には暖かい部屋に、
湿度の高い時期には爽やかな部屋にと、季節に応じた快適な住まいがありました。

父である国王は、聡明なシッダルタがやがて釈迦国を背負って立つリーダーとなるように、
武士としての兵法の学習や武術の訓練、優秀なバラモンの教師を迎えての知的教育など
一通り以上の教育環境を整えて、衣服や装飾品、食事に娯楽など、
人が欲しがりそうなものは、すべてを揃えて我が子に与えました。

けれども当のシッダルタは、特権的な身分をひけらかすこともなく、
誰に対しても分け隔てなく接し、腕白で活発な王子様というよりも、
落ち着きをもって思慮深く行動するような、大人びた雰囲気のある子供だったようです。

誕生後わずか七日で産みの母親を病いで亡くしたことも、
その人格形成に大きく影響していたのかもしれません。

他者に対しての思い遣りが深く、人と争うことを好まず、
一人物事を思索することを好む、少年期のシッダルタでした。



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