その人は、生まれてすぐに立ち上がり、東西南北の4つの方角に向かって世界を見渡し、
そこから七歩あゆみ出しては、右手で天を、左手で地を指差して、
「天上天下唯我独尊」と声に出されたという伝説が、時代を越えて語り継がれています。

生まれたばかりの赤ん坊がすっくと立ち上がって歩き出すということも、
突然言葉を話し出すということも、まず現実にはあり得ません。
いくらゴータマ・シッダルタが超人的な能力の持ち主であったとしても、
生身の人間である限り、やはりそれはあり得ないことです。

しかし、長い年月を経て今日にいたるまで、
仏教を学ぶ多くの人々によって、この伝説が語り継がれてきたということは、
その内容が歴史的な事実かどうかが問題なわけではなく、
この伝説が伝えようとする「メッセージ」こそが、真に重要だからなのだと思われます。

「四方七歩の宣言」は、こう読み解かれます。


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